続きです。
クヌギがダメになってしまったことに加え、天敵の害虫がひしめくネットハウス。
なんでこうなってしまったか・・・。それは、薬品に対する拭いきれない抵抗があったからです。
ワンダーサークルの講師の先生は化学の博士であります。彼は特に農薬に対する警鐘を鳴らし続けてきた人です。
私は薬品に関しては素人ですので、何にどんな成分があるのかわかりません。
ただ、語り継がれてきたやり方をなぞることしか出来ません。
「芽吹き前には、この薬品を何倍にして噴霧したら良いですよ。そうすると天敵は死滅します。」
しかしながら、私が飼うのも「イモムシ」には変わりないので、もし薬が残っていると、やはり死滅です。
天敵は、死滅して良いけれど、天蚕はより多く生き延びて欲しい・・・・。
これは、・・・本当に正しいことなのか。ときに考えます。
そもそも天蚕を多く収穫することは、自然の摂理に反しています。本来ならば、一対のヤママユガから300の卵が孵ったとして、自然淘汰されて数匹残れば現状維持。それこそが自然なのです。
私がやろうとしていることは、本当に正しいのか・・。多くのことを考えながら、ただ涙が出てきます。
でも、こうして、自然孵化して生き残った一頭の幼虫を見たときに、私はその背後に師匠はもちろん、長い歴史の中で養蚕に関わってきたであろう多くの人達の思いを垣間見たような気がしました。そして、その絹にまつわる、その着物にまつわる多くの歴史上の人間ドラマのエッセンスを感じ取りました。これが「文化」と呼ばれてきたものなのかも知れない。
天敵達よ!ごめん。来年は、消毒させて頂きます。空を見上げれば、青空にまぶたの雫が七色に光りました。
Y町の畑は、まだ、これからです。「初めての爆笑消毒体験」の内容は、明日に続く・・・
「君の名に自信と誇りを」 垂ネーム工房 天蚕農園 五岳館
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